令和3年度 高校入学式式辞
昨年は5月に、しかもリモートでしか行えなかった入学式でしたが、今年は、コロナの影響未だ大とはいえ、こうして春の優しい日差しに包まれながら、ご来賓、ならびに保護者の皆様にもご参列いただいた上で、令和3年度入学式を挙行できますことを何よりもうれしく思います。保護者の皆様には、心からお子様のご入学をお喜び申し上げます。おめでとうございます。
285名の東京都市大学等々力高等学校・新入生のみなさん、入学おめでとうございます。入学式に際し、教職員を代表してお祝いの言葉を申し述べたいと思います。
皆さんが入学されたこの都市大等々力高等学校は、独創的なアダプティブラーニングシステムや豊富な内容の英語・国際教育、また時代を先取するICT教育やアクティブラーニングなど、常に新しいことに挑戦しながら、皆さんの精神的成長や現実的な学力向上のために、多くの具体的なシステムが整っている学校であります。本校の授業はもちろん、課題、行事などは、皆さんの方に求める気持ちさえあれば、新大学入試制度への対応を含め、確実に力が付くようにできているものと自負しています。それは、近年の躍進目覚ましい大学進学実績に端的に表れているものと思っています。
どうか本校の授業他、様々な行事やシステム、そして教員の指導を信頼し、安心して学校生活を送ってください。まずそのことをお話しておきます。
一方で本校は、いろいろな斬新な教育に取り組み着実に実績を上げている学校であると同時に、どんなに時代が変わろうとも、ノブレス・オブリージュの教育という、不動の一点を常に見つめて前進していく学校であることをお話しておかなければなりません。
皆さんには3月のリモートによる合格者説明会で、すでにお話しましたが、もう一度ここでおさらいをしておきます。
一つは、ノブレス・オブリージュの原点は、まず何よりも「返事・挨拶・後始末」だと言いました。どんな時でも「笑顔で挨拶」することを忘れずにいましよう。いくら勉強ができても、明るく「笑顔で挨拶」できない人は社会で活躍することはできません。
二つ目は、ノブレス・オブリージュの次のステップは、皆さんは能力にも環境にも恵まれているという自覚を持つべきであり、その自覚が、「恵まれた才能や環境を使い切らなければならない責務がある」という使命感に繋がるのです。だから皆さんにとって勉学に努めることは、皆さんに与えられた使命を果たすことであり、それはまた、責務だと話しました。私たち教員は、皆さんが一所懸命学習に励むことを責任だ、義務だと思っている者たちの集団というところから指導していきます。何のために勉強しなければならないのかという問いで立ち止まっている人たちではないと認識しているということです。そのことを入学式に際して、しっかりと自覚しておいてほしいと思っています。
もちろん、学校は学習の場だけではありません。というか単に教科の学習を詰め込むだけの場ではないというべきでしょう。
若く多感な青春時代は多くの友だちを作り、多くの語らいをする時代であり、部活動で苦しい汗や悔しい涙を流す時代であり、様々な活動に果敢に挑戦し、成功したり失敗したりする時代なのです。学校はこうした人生の上で貴重な体験の舞台でなければならないと思っています。どうか可能な限り多くの経験を積んでください。人間には、経験でしか得られない大事な能力というものもあるのです。だから、高校時代には教科外の活動にも挑戦してほしい。ただ、その時に思い出してほしいのが、わが校の創立者・五島慶太先生であり、先生の言葉であります。
五島慶太先生は一代で東急グループを築きあげた大実業家です。しかし、その半生は実に多くの困難や苦労の連続でした。小学生だった五島先生は片道12キロの道のりを毎日歩いて学校に通い続けました。愛する妻や子供を相次いで亡くした時期もありました。開業した日に関東大震災に見舞われ一夜にしてどん底に突き落とされたこともありました。経営不振で従業員の給料が払えず自殺を考えたことさえあったのです。しかし、そんな時でさえ五島先生は、「なあにこれくらいのこと」と歯を食いしばって悲しみや苦しさを堪えてきました。先生は晩年その思いを「なあにの精神」とか「熱誠」と呼び、結局のところこの精神がなければ、どんなに知識を得たところで、あるいは何を経験したところで真に自分の物にはならないともおっしゃっています。
「なあにの精神」の五島先生が創った学校がこの都市大等々力です。ですから、本校に通う皆さんにも、多少の困難を前にしてもたじろがない強い心、そう「なあにの精神」、「熱誠」をもって、力強く生活してほしいと思います。勉強にしても部活動にしても何をやるにしても、成功の秘訣は「なあにの精神」「熱誠」というものがどれだけあるかということでしょう。
もちろん、それでもくじけそうになった時には、どうぞ遠慮なく担任の先生はじめ私たち教員に相談してください。ここに勤める私たち教職員は、みんな前向きに頑張ろうとする皆さんにきちんと向き合い、惜しみない支援をしてまいります。最後にそのことをお約束して入学式の式辞といたします。
本日は皆さんご入学本当におめでとうございます。頑張りましょう。ノブレス・オブリージュ。
KEYWORD TAG
ARCHIVE