東京都市大学 等々力中学校・高等学校

【行事】校長式辞【高校入学式】

行事
2022.04.07

令和4年度 高校入学式式辞

東京都市大学等々力高等学校・新入生のみなさん、入学おめでとうございます。入学式に際し、教職員を代表してお祝いの言葉を申し述べたいと思います。

皆さんが入学されたこの都市大等々力高等学校は、アダプティブな学習支援システムや豊富な内容の英語・国際教育、また時代を先取するICT教育やアクティブラーニングなど、常に時代のニーズを見定めながら新しいことに挑戦し、皆さんの成長と学力向上のために、多くの実践を行っている学校です。そして、こうした一連の活動は、近年の大学進学実績に端的に表れているものと思っています。特にこの春の卒業生は大きな実績を残して卒業していきました。ある週刊誌特集では、 この10年で難関大の合格実績を大幅に伸ばした高校として全国で第5位として紹介されております。

私は、こうした実績とその背景にある、我々教員の指導について、ぜひ信頼し安心して学校生活を送っていただきたい、まずはそのことをお話しておきたいと思います。

私は、中学と高校の学びの最大の違いは、学ぶことが義務であった中学というステージから、学ぶことも学ぶ場も自らの意思で選んで、今この高校というステージに立っている、言葉を換えれば、義務から「自律」、セルフコントロールして主体的に学ぶべきステージに舞台が移ったというところにあると考えています。

折しも、この4月から改正民法が施行され、成人年齢、正確には「成年」年齢ですが、それが18歳に引き下げられました。これに伴い、少年法も改正されました。また、これに先立って平成28年6月には選挙権年齢がやはり18歳以上となっています。成年になると一人で契約ができるとか、10年有効のパスポートが取得できる、あるいは18歳19歳となれば「特定少年」に区分され、犯罪の軽重によっては実名報道もあり得るとか、こうした一連の法改正の具体的な内容も大切なことですが、私がここで皆さんにお話ししておきたいのは、こうした改正のもとになっている考え方の方です。社会は、皆さんが考えている以上に18歳という年齢に、より自立した社会意識、社会の参画者としての自覚をもってほしいと考えているのだということを、皆さんはもっと自覚しなければならないと思います。そして、これからの3年間が、立派な成年としての、また社会の参画者としてのふさわしい資質の習得と修練の場だという、強い「覚悟」というものを入学式の今、改めてしっかりと持ってほしいのです。

昨今の問題になっている国際紛争の経緯や実態、地球環境とそれぞれの国の国益の問題等々、選挙権を持った成年ならば一定の見識を持っていなければなりません。高校生だから勉強中です、とばかり言っていられなくなるのが、皆さんのこれからだということをまずしっかり自覚してください。

さて、そういう立派な見識を持つために、どんなことが必要か。私は月並みですが、高校で学ぶすべての教科科目を、つまり毎日の授業を大切にしなさいと言いたい。私は中高で学ぶことはすべて、社会で自立するための学問、人間を偏見や差別的な思想から解放する学問だと考えています。いわゆる「リベラル・アーツ」です。大学受験のための3教科5教科はもちろん、音楽や美術、家庭科、保健体育、すべての学問を総合化して熟慮してみる姿勢が高校の学習には不可欠です。少しでも多くの知識をインプットし、少しでも多くのアウトプットの機会を求めると言い換えてもいいでしょう。学習の場は教室の中だけにあるのではありません。進んで校外のコンテストや活動に参加するのも有意義です。もちろん、都市大等々力では、こうした時代の流れやニーズにも応えられるよう、十分に考慮したカリキュラムを作って皆さんに提供しています。ですから、授業や課題や提供された学びの機会を積極的に活用し、自分を貪欲に磨いてほしいと思います。

立派な成人となるための修養は厳しいものだ、そのことを覚悟して、高校生活を送ってほしいということをお話してきました。

もちろん学校は、若く多感な青春時代を友だちと過ごす場でもあります。ですから、部活動で思い切り汗を流し心身を鍛えてください。多感な青春時代ゆえ、様々な問題に悩むこともあるでしょう。しかし、苦労や悩みこそが人を強くすることも事実です。

わが校の創立者は五島慶太先生であり、先生の言葉に「なあにの精神」というものがあります。

五島慶太先生は東急グループを築きあげた日本を代表する実業家ですが、大きな成功の陰に、私たちには計り知れない多くの困難や苦労があったことは想像に難くありません。そんな時、五島先生は、「なあにこれくらいのこと」と歯を食いしばって悲しみや苦しさを堪えてきました。そして、この「なあにの精神」がなければ、どんなに知識を得たところで、何を経験したところで真に自分の物にはならないともおっしゃっています。

「なあにの精神」の五島先生が創った学校がこの都市大等々力なのですから、本校に通う皆さんにも、創立者の遺志を引き継ぎ、困難を前にしてもたじろがない強い心、「なあにの精神」をいつも心に持って、青春の悩みに打ち勝ち、社会人になるために厳しい修養をやり抜きましょう。

もちろん、苦しい時には、遠慮なく担任の先生はじめ私たち教員に相談してください。私たち教職員は、前向きに頑張ろうとする皆さんにきちんと向き合い、惜しみない支援をしてまいります。最後にそのことをお約束して入学式の式辞といたします。

  • twitter
  • facebook
  • line